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月の見えるところまで

UnsplashAleksandr Popovが撮影した写真


昨夜は中秋の名月
思った以上に大きくて丸い月を見たら、離れて暮らす子どもにも聞いてみたくなった。

「そっちは月、見えてるの?」

「見えてない」と返ってきて、こんなに大きな月なのに? と驚いた。

 

驚いてから苦笑い。
日本は広い。見えてなくても何の不思議もない。
なのに、「え、見えないの?」と思ったことが可笑しくて。

 

「今日は中秋の名月らしいよ」そう続けると
「へー、じゃあ月の見える所まで行ってみようかな」と言う。

 

曇ってるからじゃなかったのか、とまた驚いた。
そうか、部屋の中にいると、窓枠に収まる景色しか見えないんだ。

その見えない月を見るために、出不精な子が外の景色を見に行こうかと言ってる。
そう考えると、月の魔力恐るべし。

 

太陽は絶大で、その存在を忘れることなどない。
でも、月は…
月は見るたび思い出す。
ああ、ここに月が出ていた、と。

 

奥ゆかしい。
「奥ゆかしい」は“奥”と“ゆかし”から成る言葉。

“ゆかし”は「行く=行きたい」。
だから「奥ゆかしい」は、“奥”が知りたい、見てみたい、そしてそこへ行きたいという気持ちを表す。


見えないものに心惹かれて、一歩踏み出す人間と、一歩踏み出させる月の美しさ。

 

 

「月の見えるところまで行ってみる」

実のところ、子どもが月を見に行ったかどうかは知らない。
でもそれはどっちでもいい。

 

歩き出せばきっとどこかで、
ここからは見えない月が見える、そんな場所にたどり着く。