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また冬がはじまる

UnsplashMatthew Henryが撮影した写真

 

職場の石油ファンヒーターには温度計が付いていて、今朝は6度だった。
昨日出したばかりのストーブを撫でながらボタンを押す。
「よしよし」

備えあれば憂いなし。
昨日の私よくやった。

 

7か月ぶりにジジジと着火音がして、3秒で暖かい空気が吹き出してきた。
私はストーブの前で蹲って、なるべく暖気に当たろうと体を縮こめる。
冬場はいつも縮こまってる気がする。

しばらく焙られて身体が暖まってくると、気持ちがほぐれてくる。
小さなことはどうでもよくなって、暖かい空気は人を幸せにすると思う。

 

自宅の最寄り駅では16度だったから、12駅の間に気温は10度下がった計算。
職場は隣の市なのに、毎度、ずい分と遠い所まで来た気持ちになる。

自宅最寄り駅の改札を通る人たちは誰もコートなんて着てなかった。
夏じゃないにしろ、秋の装いで、冬支度と言えば高校生の制服が冬服になったくらい。

同じ駅にいても、同じホームにいても、同じ電車に乗り込んでも、行先はそれぞれで、彼らには冬の備えは必要ないみたい。

私はひとり、寒い国行きのチケットを手に、寒い所に旅立つ人の心境になる。
鞄の中には折りたたんだコートと、事務所用のもこもこした上着が入っている。

途中、高校生が一斉に降りると車内はすっからかんになる。
朝の時間帯は降りていく一方の電車なのだ。

始発駅からずっと反対側の席に座っていたおじさんは、私と同じ駅で降りた。
仕事前のキリリとした面持ちで、さっきまでの眠そうな顔が嘘みたいに颯爽と。
おじさんは寒くないのか、それとも寒くても平気なのか。

おじさんを見習って背筋を伸ばし、席を立つ。
でも私は、開いたドアから入ってくる空気にたじろんでしまう。
車内の暖房でゆるんだ肌に外気は冷たい。

 

寒いの苦手なんよなあ。
また冬が始まってしまう。
早く、暖かくならないかなあ、と春まで思う毎日が始まる。